文部科学省から平成15年度に指定を受けたSELHi研究が、平成17年度をもって終了しました。3年間の研究開発の成果と課題をお伝えします。
SELHiとは、従来の英語教育を見直すための授業のあり方を研究する学校のことで、平成14年度に始まり、全国で約100校が指定を受けました。これまで北海道では5校が指定を受けましたが、旭川藤は私立学校で最初に指定を受けました。
ここでは研究の概要を報告します。報告書も発行していますので、関心がある方はご連絡下さい。
英語による質の高いコミュニケーション能力をつけ、主体的に行動できる真の国際人を育成するためのカリュキラムと指導法の研究開発
1.「英語のコミュニケーション能力を高めるために、日常的に触れる(インプットする)英語の量を増やし、スピーキング、ライティング活動につなげ、アウトプットする英語の量を増やす指導法の研究」
(1)英語の授業でインプット量、アウトプット量をどのように増やすかの研究
(2)英語と他教科とのジャンクション(連携)に関する研究
(3)学習した英語を総合的に使う体験プログラムの研究

2.「問題解決能力を養うために主体的に行動できる生徒の育成に関する指導法の研究」
(1)身につけた企画、運営能力のアウトプットに関する研究



【第1年次】

研究内容1
「英語のコミュニケーション能力を高めるために、日常的に触れる(インプットする)英語の量を増やし、スピーキング、ライティング活動につなげ、アウトプットする英語の量を増やす指導法の研究」
(1)英語の授業でインプット量、アウトプット量をどのように増やすかの研究
英語の授業はすべて英語で実施し、ペアワークやグループワークを多用してインプットする英語の量を増やした。外国人教師による授業では、生活英語の習得を目指してスピーキング活動に力を入れ、留学に備えた。Graded Readersを導入し、自由に読ませてブックレポートを提出させた。その結果、英語によるコミュニケーション活動への慣れが見られ、スムーズな対応が出来るようになった。
(2)英語と他教科とのジャンクション(連携)に関する研究
英語科と国際科、芸術科とのジャンクションを行い、日本文化の知識を深め、英語で伝える準備をした。その一環として、芸術科授業の復習を英語で行い、TJC(Traditional Japanese Culture)授業では日本文化のプレゼンテーションを英語で行った。内容のある英語のアウトプットが出来、互いの発表を見ることによってインプットの質も向上した。
自国文化を理解した上で、英語で表現する段階に至る指導が必要である。
(3)学習した英語を総合的に使う体験プログラムの研究
ULキャンプ(英語生活合宿)、海外姉妹校来校交流、JICA研修生との交流などを通して、英語を使う場面を効果的に設定することで、生徒の英語に対するモティベーションが大きく向上した。

研究内容2
「問題解決能力を養うために主体的に行動できる生徒の育成に関する指導法の研究」
(1)目的的、計画的な時間の使い方の定着に関する研究
(2)企画・運営能力の向上に関する研究
パーソナルレコードの活用で目的的な時間の使い方を指導した。また、ULキャンプ、海外姉妹校来校交流、JICA研修生来校などは、自らを英語で表現する機会となり、企画・運営能力を試すのに役立った。
ステップミーティングを通して保護者との協力体制が出来、生徒のモティベーション向上に効果的であった。


【第2年次】
研究内容1
「英語のコミュニケーション能力を高めるために、日常的に触れる(インプットする)英語の量を増やし、スピーキング、ライティング活動につなげ、アウトプットする英語の量を増やす指導法の研究」
(1)英語の授業でインプット量、アウトプット量をどのように増やすかの研究
英語の授業でインプット量、アウトプット量をどのように増やすかの研究
英語の授業では、一対一のディベートの実施やディスカッション、プレゼンテーションの導入で、アウトプットする機会を多く設け、インプット、アウトプットの量と質を向上させた。また、英字新聞を利用し壁新聞作成などを行った。その結果、英語の総合的な力が増し、特に英語によるコミュニケーション能力の伸びが見られた。
(2)英語と他教科とのジャンクション(連携)に関する研究
英語で扱った教材を基に国際教科とのジャンクションにより、内容を深め最後にまとめとして英語でスピーチ、ポスター作成などを行い、英語のインプット、アウトプットの内容が高まった。
(3)学習した英語を総合的に使う体験プログラムの研究
実践的な英語運用能力をつけるため、学習した英語を総合的に使うニュージーランド留学(3ケ月)やULキャンプを実施した。

研究内容2
「問題解決能力を養うために主体的に行動できる生徒の育成に関する指導法の研究」
(1)目的的、計画的な時間の使い方の定着に関する研究
(2)企画・運営能力の向上に関する研究
パーソナルレコードの利用による目的的、計画的な時間の使い方の推進や、様々な学校活動を通して生徒の能力を引き出す活動場面の設定することが、英語力の向上にも良い影響を与えている。よって、研究内容1と研究内容2は連動するものである。


【第3年次】
研究内容1
「英語のコミュニケーション能力を高めるために、日常的に触れる(インプットする)英語の量を増やし、スピーキング、ライティング活動につなげ、アウトプットする英語の量を増やす指導法の研究」
(1)英語の授業でインプット量、アウトプット量をどのように増やすかの研究
英語授業(英語I・II、EFLなど)でプレゼンテーション、ディスカッションの機会を増やすことによって準備段階でインプット量が増え、発表を通してアウトプット量が増した。また、英語I・IIでは、インプット、インテイク、アウトプットのトレーニングとして、英語による要約を実施した。
さらにEFLの授業では、プレゼンテーションを徹底して行い、英語での情報収集、発音、人前で相手に効果的に伝えるなどのトレーニングを行った。
ライティングの授業は、様々な社会的問題をテーマに、自分の意見を論理的に書くことを目指し、エッセイ・ライティングを実施した。完成まで4時間4段階−1:導入(英語でトピックを基にディスカッション)、2:準備(情報収集等)、3:エッセイ作成、4:rewrite−で構成。インプット、アウトプットをこの授業構成の中で意図した。また、中味のある発信が出来る事を実証できた。この授業を利用して、インターネット上で外国の新聞の読者欄に投稿した。
(2)英語と他教科とのジャンクション(連携)に関する研究
語科「Current Events」と国際科「国際事情」の授業を一本化し、英語科担当者と国際科担当者がティーム・ティーチングを実施した。グループでの活動を中心に置き、Student Centerの授業を徹底して進めた。本年度のテーマを「日本とアジアとの関係」として、グループでのリサーチを基に、プレゼンテーション、ディスカッションを複数回行った。9月には北海道内のAFS留学生16名を招いて、本校生徒27名とともに先のテーマで英語でプレゼンテーション、ディスカッションを一日かけて行った。1年間の成果は英字新聞としてまとめた。
少子化、女性参画問題、離婚など他教科で取り上げられたテーマをライティングやリーディングの教材として扱った。その際、英字新聞を多用した。
これらを通して、インプットする内容及び英語のレベルが向上し、アウトプットも同様な効果が見られた
(3)学習した英語を総合的に使う体験プログラムの研究
2年生が英語劇を4回上演した。うち2回は本校で実施、2回は市内の小学校生徒を対象に上演した。脚本、演出などすべて生徒が担当した。夏のULキャンプで英語劇実施のための準備を始めた。生きた英語を実践し、英語力向上に繋がった。
留学生との国際理解会議≪ULConference≫を実施。英語科「Current Events」と国際科「国際事情」の授業の一環として、留学生と英語で討論した。内容の深い題材でディスカッションすることで質の高い英語によるコミュニケーション能力を鍛える機会になった。

研究内容2
「問題解決能力を養うために主体的に行動できる生徒の育成に関する指導法の研究」
(1)身につけた企画、運営能力のアウトプットに関する研究
1.英語に関するイベントの企画・運営を実践する。
英語科「Current Events」と国際科「国際事情」一環として、留学生との国際理解会議≪ULConference≫を企画・運営した。
英語劇の企画・運営を実施した。

これらを通して、事前準備の中でも当日の運営の中でも問題解決能力が発揮された。また、人を動かしたり会全体を臨機応変に動かす力も見ることが出来た。



(1)数字でみる成果
[1]英語コミュニケーション能力テスト(GTEC)結果から見た現在の力

 

スコアの範囲

英語力プロフィール

現在

1年次

680〜

英語圏への4年生大学可能レベル

550〜679

英語圏2年生大学可能レベル、社会が求める英語力

17

440〜549

短期語学留学可能レベル

380〜439

ホームスティ、海外旅行可能レベル

300〜379

ネィティヴとの会話

15

〜299

基礎レベル

平均スコア(/800)

648

385

(分析)
●英語の総合力に伸びが見られた。英語力の平均点は1年次は385/800点であったが、現在648/800点まで上昇した。
●Readingは現在グレード6で、継続的な伸びが見られた。これは、Graded Readersの成果と考えられる。
●Listeningは現在グレード6で、留学前から伸びが見られたが、特に留学を経て顕著な伸びた。・Writingは現在グレード5で、3年で大きな伸びが見られた。Reading力 やListening力の伸びに比べて時間がかかったが、着実にインプットを積み重ねた結果として、うまくアウトプットに繋げることが出来たと考えられる。

[2]英語検定試験結果から
●入学時の取得状況が、3級63%、準2級4%、なし32%であったが、現在、2級96%、準1級不合格A以上15%に達した。
●4技能のバランス良い成長が見られ、使える英語へ接近したと考えられる。

[3]模擬試験結果から(対象クラス)
●3年次に受験した、駿台模擬試験2回、河合塾模擬試験2回(すべて記述式)の結果からの分析。
●英語の総合力を見てみると、駿台模擬試験2回の平均偏差値61、河合塾模擬試験2回平均偏差値58と高いレベルの結果を出した。
●Listening力は、偏差値で本校平均65、最高68のハイレベルであった。
●読解力を得点率で見ると、駿台模試:全国45%、本校66%、河合塾模試:全国47%、本校59%というように、全国平均を大きく上回る結果となった。
●Writing力を得点率で見ると、駿台模試:全国42%、本校64%、河合塾模試:全国35%、本校51%というように、全国平均を大きく上回る結果となった。

[4]センター試験結果(対象コース受験者数17名)

 

最 高

平 均

全国平均

英 語

181点

157点

127.5点

リスニング

50点

46点

36.25点

(分析)
●この結果は、速読力が総合的に働いた結果と考えられる。

(2)生徒の変容から見た成果
●当初、クイック・リスポンス、センテンスで答えられないなどの大きな課題があったが、その場で英語でスピーチが出来る、その場で英語で150〜200語程度の英文が書けるようになった。
●Graded Readersは、レベル1からレベル7まで到達し、英字新聞も辞書を使いながら読みこなす事ができるレベルに達した。
●ジャンクションによって発信する英語の内容が深まり、自分の考えを構築し、留学生とディスカッションする力がついた。
●ジャンクションによって世界に関心を持ち、自分の考えを英語で書くことが出来、英字新聞という形で発表する事が出来た。
●上の数字で示したように、対象クラスの全員のレベルアップ(底上げ)がされた。

上記より
●英語を使って情報を集める、深める、書く、発信するという能力がレベルアップしたことで、英語による質の高いコミュニケーション能力がついたと考えられる。
●さらに研究内容2によって、問題解決能力(目標設定、企画力、運営力、)が増し、めざす真の国際人の基礎が出来つつあると考えられる。

(3)課題
●英語授業でのITの利用、及びビジュアル機器の効果的な利用について研究の余地が残されている。

本研究の結果として、3年次の「Current Events」と「国際事情」のジャンクション授業を高校3年間の集大成と位置づけることができることが明らかになった。そのためには、1年次から英語運用能力を高める体系的なプログラムを構築する事が必要である。そこで、特に次に掲げる内容の充実、発展を図る事とする。

1.英語授業を英語で行うことを継続、発展させることと、ディスカッション、プレゼンテーションを推進することで、インプット、アウトプットの量と質を充実させてゆく。
2.Writingの授業では、テーマを深め、論理的な文章力をつける。
3.ジャンクションの充実の為に、2年次にWriting・英語IIと国際科のジャンクションを導入する。




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